硬派の宿命・野望篇

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鳴らなくなったトランジスタ・ラジオ

ようやく清志郎に関して筆を執る気になりました。
彼からの多大なる影響やその功績を十分認めた上で、実直な感想を書かせて貰います。

ある意味、私が好きだった清志郎は、この日この瞬間を境に終わりを告げてしまったように思う。92年のステージから。



憧れだったMG'sをバックに、自身の黄金時代を彩ったオリジナル曲を演奏させ唄う珠玉の時間。あのスティーヴ・クロッパーの手によってこの曲のイントロが紡ぎ出された瞬間、彼の「R&Bの伝道者」としての役目はほぼその目的を達成してしまったのかも知れない。

ところがこの「夢」の続きがなかった。以降、彼は彼自身のイメージをただひたすらセルフコピーし演じる方向へと安逸に流れていってしまった。熱狂的なファンのニーズに応えるのも、また逆に反発を買うことも、すべては予定調和の域を脱することはなかった。発売禁止騒動など茶番劇としか思えなかった。肝心の音楽でカタルシスを与えてくれない。私はこれが大いに不満だった。

思えば、本当の意味でRCサクセションの音楽に愛着を持っていた周囲の「音楽好き」の多くは、この時期を境に、盟友・仲井戸麗市が生み出す派手さはないが実直な活動を注視してゆく方向へとシフトしてしまった気がする。そして残されたのは「ロックの象徴」という彼のパブリックイメージに対し盲目的に耽溺している批判精神なきイエスマンばかりであり、また若く新しいファンたちもこの流れに追随していった。

規格外の表現者であった孤高の天才は、なまじ世間に受け入れられてしまったが為に、その真価を最大限に発揮することなく特定ジャンル内でミニマムに終結してしまった感がある。当時は、この人ほど安定や成熟からほど遠い存在はいないと思っていたのだが...それが残念でならないのだ。

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