硬派の宿命・野望篇

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親父からの仕事依頼

5月下旬から矢継ぎ早に続いた作業も終わり、お蔭様でこの三連休はようやく世間並みに休養を摂ることが出来ました。

最終日は夕刻から近所にある居酒屋メニューの豊富な蕎麦屋にて、久々に両親と家人と4人で酒を...と言いたいところですが、この1ヶ月半ほとんどアルコールを入れてなかったので、すっかり酒に対する耐性が低下してしまい、土曜の夜に渋谷で "吾妻光良&ザ・スウィンギン・バッパーズ" を観ている時もコップ1杯のビールを飲んだだけでヘナヘナになってしまう始末。

ウチの家族は大酒飲みばかりなので、今の状態でそれに付き合っていたら大変なことになる...ということで「鋼鉄の意志」でもってノンアルコールビールでこの時間を乗り切る(それでも親父から日本酒を一口、お袋から「手伝って」と生ビールをジョッキ半杯を貰いましたが)。まあ、料理が美味かったからどうにかツライ思いをしなくても済んだ格好。

酒宴はともかく。この夜はクライアントに納品する時間でもあった。
そう、クライアントは親父。先の怒濤の連続仕事の中のひとつは親父から依頼された作品制作でした。

実は親父が今年の秋で完全に職務から撤退することに。
定年をとっくに過ぎても有り難いことに方々から声を掛けて頂き、以降もこれまで相談役等の役職で様々な企業に関わらせて貰っていた模様。
戦後の高度経済成長期を駆け抜けてきた退役軍人としては、定年後もこの上なく充実した時間を過ごしてきたと言えるでしょう。

そんな親父から依頼があったのが春先。
まず、2年前の夏に私が開催した個展に出品したある作品を買いたいとの打診が。そこで理由を聞くと「仕事で世話になった人に贈りたい」とのこと。

そこで私は考えた。
「そんな過去の作品を差し上げるのは先方に失礼だし俺も気乗りしない。なら親父が改めて俺に作品制作を注文してくれ。その人の為に新作を描き下ろすから。所謂『受注生産』というやつだな。同じ料金でやるよ」と返しました。

すると親父は「お前がそうしたいなら勝手にしてくれ。しかしお前は馬鹿だ。ラクして稼げる話をテメエからフイにしやがって...」と呆れてました。
私のやり方は、ずっと欧米型合理主義に乗っ取って世渡りしてきた親父にとっては理解し難い行為だったのかも知れません。
何れにせよ、親父から仕事の依頼を受けるなんて経験はこれが始めてのこと。果たしてどんな結果になるやら。


...再び蕎麦屋の座敷にて。

完成し額装した作品は万一の事故を考慮して自宅に置いてきてしまったので、親父にはとりあえずA4サイズでプリントアウトしたサンプルを渡す。
まずそれを一見した反応。

「ふーん」

随分有り難みのねえ反応だなあ。これだから芸術を解せぬ朴念仁はよう...などと思いながら料理を平らげてゆく。
酒とつまみと会話が進み、時折間が空くと、親父がやおら傍らに置いたサンプルに手を延ばしチラリチラリと眺めている。店内ではそんな行動が以降何度も頻発していた。

酒宴が終わり、店から自宅までの数分を歩き、一旦部屋に戻って梱包してある作品を取りに行く。その間、両親はマンションのエントランスで待っていた。

ナイロンのキャリングケースに入った額を持って階下に降りると、エントランスのソファでまたしてもサンプルを眺めている親父の後ろ姿がガラス越しに映っている。今度は店内とは違い、じっくりと見入っている様子だった。

その姿を一瞥して私は「少しは気に入って貰えたのかも知れないな」と安堵した。

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