硬派の宿命・野望篇

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彗星の帰還

家督を継ぎ、家業を守ってゆくことを決心した兄たちを尻目に、自らの生理と行動原理に従い家を捨て外海に打って出て行った弟。
やがて明確なる理想を掲げた彼は兄たちと同じく一家の大黒柱となるが、厳しい現実の前に挫折し、若さ故の不敵さが鳴りを潜めた途端に行き場所を失い荒野を彷徨い続けた。

家を守る者からすれば、この彗星の如く縦横無尽に世界を駆ける身勝手な弟は羨望混じりで実に疎ましい存在でもあっただろう。
ましてや彗星は自由で気まぐれだ。世の倫理や世間の期待などは、己の本能を満たす行為に比べれば屁のようなものだと考えていた。その為には他人がどうなろうと知ったことではないとばかりに。

しかし、自身の生き方に揺らぎと翳りが見えた時、その傷だらけの彗星に手を差し伸べてくれる兄弟たちがいた。迎える側も、頭を垂れて迎え入れられる側にも、度量というものが備わっていなければこの舞台は成立しなかった。

時間という魔術がすべてを解決してしまう問題はいくらでもある。
放蕩息子の帰還に心から祝福を贈りたい。

全日本プロレス「2009 プロレスLOVE in 両国 Vol.8」

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