硬派の宿命・野望篇

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バトン

96年初頭に大藪春彦が没したのを契機に、私は久しく離れていた「大藪ワールド」へ帰還することとなった。

実家に置いたあった「アズキ色の背表紙」の文庫本を当時住んでいたアパートに持って帰って再読する毎日。更に未読だった作品を古書店巡りをして徐々に集めていった。

しかし、亡くなってしまった作家の作品は何時か読み尽くしてしまう時がくる。これは物理的に当然の帰結である。やはり同時代を生きる作家とも並走し、その作品を読み続けてみたい。果たして大藪春彦の代わりに私の心を満たす作品を提供してくれる作家など存在するのであろうか?

そこで『不夜城』を引っ提げて登場したのが、私とほぼ同世代の馳星周だった。




残念ながら馳星周の作品は『不夜城』の完結編『長恨歌』以降、一冊も読んでいないし、手に取ろうとも思わない。
しかし私にとってこの作家は、確実に同時代の空気を共有し、そして自分が「屹立する」契機になった作家であることは間違いない。

世界中が傾いたら まっすぐに立ちあがる
吠えろよほら今のうち 誰も見ていないから
(THE GROOVERS「HARMLESS MADMAN」)


「受ける側」から「放つ側」へ。
...馳星周もまた、少年の頃より大藪春彦の熱烈なファンだった。


不夜城 (角川文庫)不夜城 (角川文庫)
(1998/04)
馳 星周

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