硬派の宿命・野望篇

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訣別(三発の銃弾)

原作版『野獣死すべし』で、伊達邦彦が犯行後に真田を射殺し、ドラム缶の中にコンクリ詰めにして東京湾へと廃棄したのは、単に共犯者の口封じの為ではない。

これは自身の中に流れるセンチメンタルなものの「最後の一滴」を絞り切る儀式でもあった。

伊達も真田もこの時点では、大藪初期作品の於ける多くの「伊達邦彦になれなかった男たち」と何ら変わることのない素性の「一犯罪者」に過ぎない。伊達はその敗北者たちの屍の群れから、まるで芥川の『蜘蛛の糸』のカンダタの如く一本の命綱(伊達の場合は自身の「器量」である)を頼りに抜け出し、只一人勝利する。その為には「もう一人の自分」である真田を生け贄にするしかなかった。

映画版『野獣死すべし』で、伊達邦彦が自身に恋心を抱く顔見知りのOLを射殺した理由も同様に、犯行を成立させる為に足枷となる自身の「あらゆる人間的なもの」を粛正する行為だった。

私は、伊達は彼女に心が傾きかけていたのだと思っている。事実、彼女と別れた後に一人自室で巨大なスピーカーに耳を当て悲壮なクラシック(曲名失念)を聴きながら苦悶するというシーンがあるが、これは伊達の中に残っていた人間性と、野獣たらんとする非人間性との最後の葛藤を描写しているのだと私は捉えている。

結果、伊達は自らの手で自身の人間的な「性(SEX)」を棄てた。

そして彼らと同様に、著者の大藪春彦も『野獣死すべし』という弾丸を文学界に撃ち込むことによって、自身が過去に耽溺し、かつ作家としての原動力となっていた「純文学」と完全に訣別したのはご存知の通り。

パーン。

パーン。

パーン。

と、三発の銃弾の発射音が、私の頭の中には今も木霊している。



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twitter再開しました

公式twitter、改めて開始しました。
こちらでは主に作品制作や仕事の情報に関して呟きます。

twitter : 泰山 / TAIZAN

宜しくお願い致します。

ベース・マガジン / 2010年12月号

告知です。

11月19日発売の「ベース・マガジン」(リットーミュージック)2010年12月号の「FLEA (Red Hot Chili Peppers) 特集」にて、久々の似顔絵仕事をさせて頂きました。

これまで同じリットーミュージックさんの「ギター・マガジン」誌では表紙や連載を始め、様々な特集でイラストを描かせて貰っていたのですが「ベース・マガジン」誌は今回が初登場となります。

さて、誰を描いてますでしょうか...
その答えは書店にて!

BASS MAGAZINE (ベース マガジン) 2010年 12月号 [雑誌]BASS MAGAZINE (ベース マガジン) 2010年 12月号 [雑誌]
(2010/11/19)
ベース・マガジン編集部

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祝週

今週は祝い事ふたつ。

まず15日は自分の結婚記念日。

10年前、区役所に届けを出した後、雨の中を恋人から妻になった人と一緒に行きつけの近所の蕎麦屋へ行った。
その店は当時の住居からほど近く、普段からよく利用していた。元々は河田町にあったテレビ局の近くで店を開いていたらしいが、局が丸ごと湾岸へ引っ越したのを契機に我が街へとやって来た。
若い二人にとっては、週に一度その店の旨い手打ち蕎麦を食べることが最高のご馳走。中でも鴨せいろは絶品で私たちの大好物だった。

その後住居が変り、それでもたまに訪れてはいたのだが、ある時店の前まで行ってみると入り口に張り紙が。なんと他県へと引っ越してしまったらしい。詳しい事情はわからなかった。それからもう6,7年が経つ。

本当に数日前。たまたまその店の近況を知りたくなってネットで検索してみると、再び東京へ戻って来て都内の別の場所に店を構えているという情報を知った。
そのことを家人に話すと「結婚記念日を祝うにふさわしい場所では?」というニュアンスでお互い一致し、当日は東京の南の外れの閑散とした寺町にあるという新店舗へ、バスと電車を乗り継いで向かってみた。

店の戸を開けると、10年前と変わらない女将さんの声が。初めて入る店ではあるが、それだけで懐かしい気分になる。
焼き味噌、玉子焼きをアテに熱燗をちびちび飲った後に〆の鴨せいろ。入籍した日と同じ、当時の私たちのフルコースだ。懐かしい味。味覚は過去の記憶を呼び起こすのだなあとつくづく思った。

トイレに立っている間に家人が女将さんに挨拶をしたら、どうやら私の顔を覚えていてくれたみたいでとても嬉しかった。
現在の住居からは立地的に少々不便な場所ではあるが、今後も長く付き合っていきたい、思い出が詰まった特別な店である。


一日置いて17日。

親父の誕生日。家人曰く、数え年で今年が喜寿に当たるらしい。当人は無頓着で「へえ、そうかい?」なんてものだったが。
ちょっと前にお袋と家人と三人で偶々入った中華料理屋が料理も美味く良い雰囲気だったので、そこで祝うことにした。

専ら話題は新しい家族の話だ。私が赤ん坊の頃のエピソードなども面白可笑しく引き合いに出されたり、以前とは根本的に話題の内容が変化してきている。何より親父の表情が穏やかだ。良い意味で二人とも祖父母の心持ちになっているのだろう。
紹興酒を舐めながらそんな状況を眺め、俺も少しは親孝行出来たのかな?なんて心境になった夜だった。

母の話によると、父方の祖父も母方の祖母も11月生まれだったらしい。亡くなった人々も引っ括めてお祝いした。

三たびの、GRD

今さらながら、GRDIIIを購入した。
M8とiPhoneの間を埋める機材が欲しかったのだ。それも出来るだけシンプルな物を。で、市場価格が大分こなれてきた今が丁度良いタイミングと判断した次第。

GRDはこれまでに初代を2台(1台目はスタバのキャラメルマキアートに水没させてしまった)所有していたが、ここ2年ほどは他の機材との兼ね合いでズーム付きのコンデジが必要だった為、他機種に浮気していた格好。いろいろ渡り歩いたが、どれも今ひとつしっくりせず、すべて手放してしまった。

長らく愛用した本シリーズ(2代目は未所有だが)の進化型を改めて使用してみると、やはりインターフェイスが抜群に使い易い。馴れと言うよりも合理的に作られている。この辺がリコー製品に多くのファンが居るという証拠だろう。

IMG_0688.jpg

死蔵していたフォクトレンダーの28/35mmミニファインダー(廃盤品)を装着。あまり余計なカスタマイズはしたくないが、やはりファインダーが有ると無いとでは被写体に対峙した時の心構えが違う...ような気がする(苦笑)

画狂人 上村一夫展

画狂人 上村一夫展「狂人関係 - 北斎に最も近づいた漫画家」(於「下北沢GAon!」)へ。

上村一夫公式サイト

IMG_0680.jpg

私ごときが、余計なことなど何も言いますまい。
只ひたすら、上村先生の圧倒的な画業の偉大さに感嘆するのみ。

惜しむらくは45歳という若さで亡くなられたこと。
先生が「狂人関係」で描かれた北斎のように90まで存命されて、その若き日に量産された「劇画」を越えた先の「一枚絵」の境地を見てみたかった。

劇中に登場する北斎の作品と上村先生が描かれた生原稿が交互に展示されていたり、見せ方にも工夫が見られた作品展だった。

11月21日(日)まで開催中。
11:00~19:00(最終日は18:00まで)
入場無料・月曜休館

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また、神保町の「ギャラリー小暮」でも、上村先生の別の原画展が開催される。

「上村一夫 原画展 in ギャラリー小暮」
2010年11月13日(土)~11月20日(土)
11:00~19:00(日曜定休)

この晩秋は上村一夫が残した世界にとことん酔いしれて、そして個人的には僭越ながら、目下遂行中の創作へ向けてのモチベーションを高めてみたい、そんな心境になっている。

高円寺ナイト

昨夜は友人のフリーライター「人斬り五郎」こと河田拓也氏と、共通の友人が経営する高円寺のBAR「ペリカン時代」で合流。マスターを交えて、久々の再会に話しが弾み酒も進む。

当夜は不在だった女将の同級生の男性(要は私とも同年)とカウンター越しに、なぜか『新巨人の星』の話題で盛り上がっていると、一人の華奢な男性が店に入ってきて河田氏の隣に座った。そのままお互い自己紹介もせずに『新巨人の星』の話に何の躊躇もなく雪崩れ込む。

改めて河田氏から紹介して頂いた男性は、ライターの荻原魚雷氏だった。実はお姿を一見した時から、その佇まいで「ひょっとしたらそうかな...」とは思っていたのだ。

河田氏と知り合った10年ほど前より、氏の名前は高円寺界隈の飲み友達から頻繁に聞いていた。しかしなかなかご縁がなくこれまでお会いする機会に恵まれなかった。
同じく氏も共通の友人たちから話を聞いて私の存在をご存知だった様で、お互い「あー、ようやくお会い出来ましたね~」というムードになり、まるで初対面とは思えないほどの澱みのなさで好きな音楽や漫画の話題で盛り上がる。気がつけば時計の針は夜中の1時を回っていた。

自分にとって、今このタイミングで出逢えたことがベストだったような、そんな気がしてならない。

先月の大阪での「マイブレス飲食部会」以降、「いい呑み」が続いている。良き仲間に恵まれ、私は幸せ者だと思う。


活字と自活活字と自活
(2010/07/13)
荻原魚雷

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I'm a man.
I'm just an average guy.

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