硬派の宿命・野望篇

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私的創作黎明記 #1

昔々、小学校四年生の夏休みの宿題で、一学期に授業で使われた佐藤さとるの著作『だれも知らない小さな国』の続編を考えて自由に書きなさいという課題を出された。

担任のT先生は当時40代半ばの女性で、全国的な規模の児童文学の研究会に席を置き、わざわざ当時のソ連まで自費でボリショイサーカスを観に行くような芸術家肌の方だった(息子さんも美大に進学されていて、後に私は奇しくも彼の後輩と成ることに)。

そのT先生が、ある意味「なんでもあり」のカリキュラムであった道徳の時間を、毎回彼女自身が見立てた児童文学や絵本を生徒たちに読んで聞かせ、そこから教材としてディスカッションや感想文を書かせたりという授業を2,3,4年生の三年間、同じクラスで展開し続けていた。
私はそんなT先生の授業が大好きだった。読書という行為に慣れ親しむことが出来たのは彼女のお陰だったと今でも感謝している。

佐藤さとるの「コロボックル物語」シリーズをご存知の方は、おそらく我々の世代では多くいらっしゃるかと思う。

主人公の小学生「ぼく」は夏休みに「もちの木」を探すために山へ行く。そこで地元の老婆から小人伝説を伝え聞くのだが、翌年に同地を再訪した際、本当に小人と遭遇してしまう。そして彼はコロボックルたちから「せいたかさん」と呼ばれ、彼らと親交を深めてゆく...。

小学生の私はこの物語を、今現在日本全土で文明を支配している「現代人」と、山に潜む少数民族である「コロボックル」たちとの理想的な共存の可否を提起しているのだと幼いなりにぼんやりと解釈していた。

この夏休みの課題にあたって、T先生は「書きたい人だけでいいから」と、生徒たちに強く強制はしなかった。
私もそれを真に受けて、8月半ばを過ぎるまではこの課題についてすっかり忘れていた。何故ならば、同月の上旬に虫垂炎になってしまい、生涯初めての入院生活が一週間続いたからだ。それどころではなかったのだ。

退院後、まだ激しい運動が出来ず、私は自宅で折角の夏休みを持て余し退屈していた。その日も何気なく勉強机の棚に置いてある地球儀を手に取って日本周辺の地形を眺めていた。これは私にとっては別段珍しい行為ではなかったが、その日はたまたま九州から南下した位置に存在する群島に注目した。外で自由に遊べない不自由さが私の意識を外的な方向に作用させたのかも知れない(少々こじつけ気味)。

種子島、屋久島、奄美諸島、沖縄...と、点在する島々を辿る先に一際大きな島、台湾があった。

「台湾って外国だよな? でもこうやって海を渡ってくと簡単に外国に行けちゃうもんなんだな...海の上には国境線もないし」

そこは"台湾バナナ"の産地というぐらいで、これまで全く意識をしたことのなかった土地だった。
そうやってさらに視線を南下させると、フィリピン諸島に辿り着いた。小さな島々が沢山寄り集まっている複雑な地形だった。

「アメリカまで船で一気に太平洋を渡ろうとすると大変そうだけど、フィリピンまでなら途中休み休み行けそうだ...」

そこで私は閃いた。この真逆のフィリピン→台湾→日本というルートで何かストーリーが書けるんじゃないか、と。問題は、宿題のテーマである「コロボックル物語」とどう関連付けるかであった。

<続く>

だれも知らない小さな国 (児童文学創作シリーズ―コロボックル物語)だれも知らない小さな国 (児童文学創作シリーズ―コロボックル物語)
(1996/11)
佐藤 さとる

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