硬派の宿命・野望篇

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Per un pugno di dollari

どれだけ黒澤明監督のオリジナル作品が素晴らしかろうと(そもそも今さら私ごときが「偉大なる世界のクロサワ!」なんて、ここで改めて声高に絶賛する必要もなかろう)劇中での三船敏郎の存在が圧倒的であろうと、私の全人生の中に於ける「用心棒」と名の付く存在は嘘偽りなく永遠に彼が筆頭なのである。



親父が西部劇などのガンアクションや戦争物といった、今思えば「シンプル」なドンパチ映画が大好きだった影響で、子供の頃から晩酌と共にテレビの洋画劇場に付き合わされていた(もっとも親父は異常なほど性急で飽きっぽい性格故に、何時も最後まで鑑賞出来ずにさっさと寝くたれてしまっていたが)。

よって、私が物心ついて初めて目の当たりにした「用心棒」とは、当時無名のイタリア人監督がスペインをロケ地にして日本映画の名作をアメリカの西部劇風に解釈したというケッタイな映画(のちに黒澤はセルジオ・レオーネ監督らを著作権侵害で訴え勝訴し、アジアでの配給権と全世界での興行収益の15%分のアガリを得ることで合意したそうな)であり、そこに登場する長身のテレビ向け米国人俳優の虚無的な佇まい、そしてリアリティのかけらもない大量虐殺シーンと、矢鱈ド派手なガン捌きだった。
これは誰が何と言おうと絶対に曲げられない私の体内に刻まれた確固たる事実であり歴史である。

無論、『血の収穫』なる米国の古い探偵小説の存在を知るのは、もっともっとずっと後の話だ。
(クロサワも結局はレオーネと同じ穴のムジナだった...しかし、個人的には物作りの上でのこういった「循環」はあって然るべきだろうと思っている)

ところで、あとからいろいろ勉強したことによって過去の「自分史」を都合良く、いとも容易に書き換えてしまう人って結構いますよね。この辺のメカニズムについてはまた改めて記したいと思います。

■ コメント

便乗してあえて言ってみる

私も世界のクロサワ版より、こっちの『用心棒』の方を意識的によく見てきたことに気づきました(単にTVでの放映回数が多いからかもしれませんが)。

「アントニオ猪木がプロレスである」的な論法であえて誤解されるのを承知で言えば、私にとっては勝新太郎とブルース・リーとクリント・イーストウッドが映画です。個人的な作家性よりも「大衆的な欲望」に根ざしたナチュラルさと言いますか...このアイコンとしての完璧さ。もう言うことありません。
最近は楽しみな映画が殆どないのですが、イーストウッドの『グラン・トリノ』はもう楽しみで楽しみで、公開を待ち焦がれてます。

Re: 便乗してあえて言ってみる

kimluckyさん>

やはり「大衆性」でしょうか。私の場合もそれが物を見る基準になっています。
たとえばプロレスの場合、限定されたマニアが高いお金を払って会場に行ったり
有料放送を観戦するよりも、近所の小汚いラーメン屋の油だらけの古いテレビで
食事しながら観られるような敷居の低い環境の方が健全で愛おしく感じます。

でも、「芸術性」という価値観に重きをおいている方々は「大衆性」を軽蔑する
傾向にあると思いますが、何故なんでしょうね? それぞれ堪能すればいいのに。

『グラン・トリノ』、レビューをちらっと見ましたが、これは良さそうですね。
イーストウッドって、自身も監督する人だからか、非常にデザイン力に長けて
いるというか、自分の過去のイメージを背負い込みながらも綺麗にキャリアを
舵取りしている気がします。それこそ「大衆性」や「芸術性」などお構いなしで。
こうした客観性や柔軟性は下積みが長かった故かも知れませんね。

マカロニウエスタン

映画に興味を持ったガキの頃にTVの吹き替え版でこの手のマカロニ・ウエスタンは大量に見た気がする。この映画の音楽担当エンニオ・モリコーネを筆頭に何故だかどの映画もテーマ音楽は最高だった。

個人的にはフランコ・ネロ主演「続荒野の用心棒」が好きでした。これも主題歌が最高だった。

Re: マカロニウエスタン

TARO君>

ガキの頃は頻繁に劇場なんて行けないから専らTVの洋画劇場頼りだったよね。
逆に当時テレビで観てた作品をオリジナル版で観ると違和感あるぐらい(苦笑)
エンニオ・モリコーネの名前は高校の時に「ワンス・アポン・ア・タイム~」
で知って、映画に詳しい友人から「一連のマカロニの主題歌書いた人だ」って
教えて貰って「え、あの曲もそうなんだ!」という流れで再認識しました。
最早、脳味噌の物凄く深い所にまで擦り込まれていますね。一連の主題歌は。

「ジャンゴ」は、あの棺桶のギミックが最高。

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